【弁護士コラム】遺言書と遺留分について解説

遺言書作成

目次

1 相続順位と法定相続分
2 条文から見た遺言の必要性
3 遺言の種類
4 とりあえず、自筆証書遺言書を作ってみる
5 誰か二人に相続させる(遺贈する)遺言を書いてみよう
6 封筒に入れよう
7 遺言の検認
8 遺言の偽造と欠格事由
9 遺留分

1 相続順位と法定相続分

1 配偶者→常に相続人

2 血族相続人
・第1順位 子
・第2順位 直系尊属
・第3順位 兄弟姉妹

3 代襲相続
・相続人となるべき子または兄弟姉妹が一定の事由により相続権を失った場合に、その者の子が、そのものの受けるはずだった相続分を、被相続人から直接に相続できること。

4 法定相続分
・配偶者+子→配偶者1/2、子1/2
・配偶者+直系尊属→配偶者2/3、直系尊属1/3
・配偶者+兄弟姉妹→配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
※配偶者がいない場合同一順位で均分相続

※詳しくは「遺産分割協議について」を参照

2 条文から見た遺言の必要性

●相続開始の原因(民法882条)

相続は、死亡によって開始する。

●配偶者の相続権(民890条)

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。

●相続の一般的効力(民896条)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

●祭祀に関する権利の承継(民897条ⅠⅡ)

Ⅰ 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定(民896条「相続の一般的効力」)にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主催する者が承継する。

Ⅱ 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

●共同相続の効力(民898条、899条)

相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

※共有
・全部の処分には全員の同意が必要。
・どのように使うかは持ち分価格の過半数で決める。
・持分権の譲渡は自由。
・分割方法について共有者の協議がまとまらないときは、裁判所に分割を請求できる。

●遺言による相続分の指定(民902条Ⅰ)

被相続人は、前2条の規定(民900条「法定相続分」、民901条「代襲相続人の相続分」)の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は遺留分に関する規定に違反することができない。

●遺産分割の基準(民906条)

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

●遺産の分割の協議又は審判等(民907条ⅠⅡ)

Ⅰ 共同相続人は、次条(民908条「遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止」)の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。

Ⅱ 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
※異母兄弟、前妻の子

●遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止(民908条)

被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁止することができる。

●包括遺贈及び特定遺贈(民964条)

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

●遺言の効力(民985条Ⅰ)

遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

●遺言の撤回(民1022条)

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

●遺言の撤回の放棄の禁止(民1026条)

遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

●遺言能力(民963条)

遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

遺言書作成について詳しくはこちら>>

3 遺言の種類

1 自筆証書遺言
2 公正証書遺言
3 秘密証書遺言

1 自筆証書遺言

メリット
・秘密が守られる
・自宅で容易に書ける
・費用が掛からない
デメリット
・遺言書の管理が難しい
・遺言書に不備があるおそれがある
・偽造の可能性あり
・検認が必要
・すべて自書しなければならない

2 公正証書遺言

メリット
・遺言書の管理が確実
・遺言書の作成に不備がない
・口述できる
・検認が不要
デメリット
・費用がかかる
・証人が二人以上必要である

〇公正証書遺言はこちらもご覧ください

遺言(公正証書)の作成の流れとポイント

当事務所が公正証書遺言をおすすめする理由

3 秘密証書遺言

・証人2名が立ち会って公証人が作成するが、公証人役場で保管しない遺言書。
・ほとんど使われていない制度。

4 とりあえず、自筆証書遺言書を作ってみる

〇手順

1 財産を洗い出す
2 相続人を調べる
3 誰にいくらあげるか決める
4 誰か一人に相続させる(遺贈する)遺言を書いてみよう

※当事務所の弁護士にサポートを依頼することも可能です。

〇気にすべき点

・全文をすべて手書きで書く
・日付を書く
・遺言を書いた人の氏名を書く
印を押す(認め印でも可。実印がベター)
・用紙はなんでも可
・筆記用具は消せないものを使う
・訂正には複雑なルールがあるので書き直すのがベター

※訂正の方法

①訂正したい箇所を二本線で消す。
②その横に押印する。
③消した横に訂正した文字を書き込む。
④その行の上に「この行〇字削除、〇字加入」と書き、その後に署名する。

・親族の場合は続柄を名前の前に書く
・友人等の場合は氏名、生年月日、住所を書いて人物を特定する
・相続人に相続させたい場合「相続させる。
・相続人でない人に相続させたい場合「遺贈する。

5 誰か二人に相続させる(遺贈する)遺言を書いてみよう

・不動産の場合の書き方

※登記簿を書き写す。

●●に次の財産を相続させる。
(1)所在 ●●市●●町●●丁目
地番 ●●番●●
地目 宅地
地積 ●●平方メートル

・預金の場合の書き方

※通帳を書き写す。
●●に次の財産を相続させる。
(2)●●銀行●●支店 普通預金 口座番号●●

・遺言執行者も入れてみる

「遺言者は、本遺言の遺言執行者として遺言者の【続柄】●●を指定する。」

※破産者、未成年者、被後見人、被保佐人、被補助人は遺言執行者になれない。

6 封筒に入れよう

遺言書と同じ日付を書く
・氏名を書く
遺言書と同じ印を押す
※封はしてもしなくてもよい。封を開けても遺言は無効ではない。

7 遺言の検認

自筆証書遺言の場合に必要。公正証書遺言の場合は不要。
・戸籍謄本を取り付けて、裁判所に申し立てる。
・偽造防止の手続き。
・相続人全員に通知が送られる。
・検認を経ないで遺言を執行したり、封印のある遺言書の封を家庭裁判所以外で開封すると、五万円以下の過料に処せられる(民1005条)

8 遺言の偽造と欠格事由

故意に遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合は相続人あるいは受遺者はその地位を失う。

9 遺留分

1 意義

遺言などで奪われた場合に取り戻すことが出来る相続人の権利分。

2 遺留分権利者

配偶者、直系卑属、直系血族
※兄弟姉妹やその子には遺留分はない。

3 遺留分の計算方法

(1)遺留分の割合

直系尊属のみが相続人→遺産の3分の1
その他→遺産の2分の1

(2)算定の基礎となる財産

被相続人が相続開始時に有していた財産の価額
+贈与財産の価格
-相続債務の価格

(3)具体的遺留分額

算定の基礎となる財産額×1028条所定の遺留分割合×法定相続分

4 現物返還・価格弁償

原則として現物返還。
減殺請求の相手方は、価格で弁償することで現物返還を免れる。

5 遺留分行使方法・行使期間

・遺留分を侵害している人に通知を送る。
・相続開始と贈与・遺贈を知ったときから1年、相続開始から10年。

6 遺言による遺留分対策

・例えば、不動産ではなく、預貯金から減殺の対象にするよう定めておく。

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